著作権者に無断で、著作物を複製、公衆送信等をすることは、著作権を侵害することとなり、著作権法違反として処罰の対象となります。法定刑は、著作権を侵害した場合は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金またはその併科となります(著作権法119条1項)。本罪は親告罪です。
ファイル共有ソフトは、ユーザーがネットワークに参加することにより、ユーザーのコンピューター内にあるデータを保存しそれを公衆送信することとなります。それにより、ユーザーは他人の著作物を無断でネットワークに公開していることとなり、著作権法違反となることがあります。
警察庁だより不正商品対策協議会のHPによると、平成25年の著作権法違反(海賊版事犯等)の検挙件数は、240件となっています。
また、ファイル共有ソフト等を使用した著作権法違反事件について、警察は平成26年2月の3日間で一斉集中取締りを実施し、123カ所を捜索し、33人を検挙しました。
著作権法の起訴・不起訴の傾向
検察統計によると、平成25年の著作権法違反による公判請求の件数は79件、略式命令請求の件数は167件、不起訴処分は90件で、起訴及び不起訴処分の合計のうち不起訴処分の割合は26.8%となっています。このことから、起訴されるのが7割以上と比較的高い傾向があると考えられます。
起訴された246件のうち167件(67.9%)が略式命令請求であることから、多くが罰金となるといえます。
警察による捜査は、サイバーパトロールに引っ掛かった人を対象にして、突然現行犯逮捕したり、捜索・差し押さえをした後、通常逮捕したりして進められます。
ファイル共有ソフト等による著作権法違反は、社会問題化しており、検挙されると起訴される可能性が高いと考えられます。
ファイル共有ソフトを利用して著作権を侵害する行為があったとしても、故意がなければ処罰されません。そこで、弁護士としては、不起訴を目指して弁護活動を行います。仮に犯罪を認めざるを得ない場合には、犯情や情状について意見書・上申書を作成するなどして検察官に提出します。
不起訴が困難な場合には、略式請求を目指して活動することになります。
この種の事件は専門性が高いため、経験豊富な弁護士に早めにご相談ください。