児童買春・淫行等に該当する犯罪は法律および条例で規定されています。
児童ポルノ法違反は、児童(18歳未満の者)等に対し、対価を供与し、又はその供与の約束をして、児童に対し性交等をすることにより成立します。法定刑は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児童ポルノ法4条)。
児童福祉法違反は、児童に淫行をさせる行為を行った場合にも成立し、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこの併科となります(児童福祉法60条1項)。
東京都の場合、東京都青少年の健全な育成に関する条例違反は、青少年(18歳未満の者)とみだらな性交又は性交類似行為を行った場合に成立し(同条例18条の6)、この場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります(同条例24条の3)。
このような条例はほとんどの都道府県で制定され、県で制定されていなくても市町村単位で制定されている場合があります。児童ポルノ法の場合は、対価を供与または供与の約束が必要であるのに対して、児童福祉法および条例の場合は、対価の供与がなくても行為を行っただけで成立するという違いがあります。
児童ポルノ・わいせつ画像の児童ポルノ法違反の場合をご覧ください。
児童福祉法違反の逮捕の傾向
児童福祉法違反の総数464件のうち、警察及び検察で逮捕されたのは325件(70.0%)、逮捕されない在宅のものは139件(30.0%)となっています。このことから逮捕される可能性が高い傾向にあるといえます。
児童福祉法違反の警察の対応
警察で逮捕された324件のうち、検察へ身柄送致されたのは324件(100%)、警察で釈放されたのは0件(0%)となっています。このことから身柄付きで送検されるのは確実である傾向があるといえます。
児童福祉法違反の逮捕後の措置
逮捕・送検された325件のうち勾留が許可されたのは322件(99.1%)、勾留が却下されたのは0件(0%)、検察で釈放されたのは1件(0.3%)となっています。このことから勾留される可能性が極めて高い傾向にあるといえます。
児童福祉法違反の起訴・不起訴の傾向
児童福祉法違反で公判請求されたのは、253件、略式命令請求されたのは、57件、不起訴処分だった件数は、116件でした。起訴と不起訴処分の合計のうち不起訴処分の割合は27.2%となり、同法でも起訴される割合が高くなっているといえます。
児童福祉法違反の裁判の傾向
司法統計によると、平成25年に第一審で児童福祉法で有罪となったのは181件、無罪となったのは0件で、有罪率は100%となっています。したがって、起訴されると有罪となる可能性が極めて高いので、起訴を阻止する活動が重要といえます。
有罪の内訳をみると、実刑判決は78件(43.1%)、執行猶予が付されたのが103件(56.9%)となっています。これらのことから、執行猶予が付される割合が半数を超えていますので、起訴されてしまった場合は執行猶予を獲得することに注力すべきこととなると考えられます。
青少年保護育成条例違反の逮捕の傾向
青少年保護育成条例違反の総数2,478件のうち、警察及び検察で逮捕されたのは813件(32.8%)、逮捕されない在宅のものは1,665件(67.2%)となっています。このことから逮捕される可能性は比較的低い傾向にあるといえます。
青少年保護育成条例違反の警察の対応
警察で逮捕された811件のうち、検察へ身柄送致されたのは789件(97.3%)、警察で釈放されたのは22件(2.7%)となっています。このことから身柄付きで送検される可能性が高い傾向があるといえます。
青少年保護育成条例違反の逮捕後の措置
逮捕・送検された791件のうち勾留が許可されたのは700件(88.5%)、勾留が却下されたのは23件(2.9%)、検察で釈放されたのは55件(7.0%)となっています。このことから勾留されない可能性もあるといえます。
青少年保護育成条例違反の起訴・不起訴の傾向
青少年保護育成条例違反で公判請求された件数は、178件、略式命令請求がされたのは、943件、不起訴処分だった件数は、1,237件でした。起訴・不起訴の合計のうち不起訴処分の割合は52.5%となり、半数以上が不起訴となるといえます。
起訴された1,121件のうち943件(84.1%)が略式命令請求であることから、ほとんどが罰金となるといえます。
上記の犯罪については、不起訴処分となる可能性があり、また、仮に起訴されたとしても略式命令請求で罰金となることが多いといえます。そうだとすれば、まずは、不起訴処分の獲得をするための活動が重要となります。そのために、起訴・不起訴の決定権がある検察官に処罰する必要性がないことを主張することが極めて重要となります。
犯罪をやってないのに逮捕されてしまった場合には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」を目指して弁護活動を行います。
犯罪をしてしまったことを認める場合には、「起訴猶予」を目指して示談を成立させたり、犯情や情状について意見書・上申書を作成するなどして検察官に提出します。
起訴猶予が困難な場合には、略式請求を目指して活動することになります。
長年刑事事件に携わったものこそが、相場や今後の見通し状況、そのためにやるべきことは何かを判断することができます。早期に刑事事件に精通した弁護士に相談されることをおすすめいたします。