事件の処理を行うのは検察官です。事件の処理は、公訴の提起(起訴)と不起訴に大別されます。
検察の実務では、有罪判決が得られる高度の見込みがある場合に限って起訴するという原則があります(しかし、多くの無罪判決が言い渡されたり、再審請求事件で無罪が言い渡されているのを見ると、この原則が厳格に守られているわけでもなさそうです)。
起訴にはいくつかの種類があります。
検察官が公訴を提起し公判を請求する場合です。裁判ドラマ等で見るあの手続きが公開の法廷で行われることになります。
なお、検察官は、事案が明白で、軽微であるときは、公訴の提起と同時に書面で即決裁判手続を申し立てることができ、この場合は簡単な公判手続で判決が言い渡されます。
検察官は、
に、簡易裁判所に対し、公訴の提起と同時に略式命令を請求できます。裁判所は、公判を開かず、一件記録を読んで有罪と認めれば略式命令を発し、その謄本が被告人に送達されると身柄拘束中の被告人は釈放されます。
検察官の行う処分のうち公訴を提起しない処分を不起訴処分といいます。不起訴処分にもいくつかの種類がありますが、主なものは次の三つです。
被疑事実は認められるが、犯罪の軽重・情状等により訴追を必要としないときにする処分をいいます。
事件の軽重、被疑者の役割・行為の内容、前科の有無、示談の成否、反省の態度、再犯の可能性等が考慮されます。
被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なときにする処分です。
被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、又は犯罪の成否を認定すべき証拠がないことが明白なときにする処分です。
弁護士としては、ここで説明した検察官による処分につき、被疑者が否認している場合には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」を目指して弁護活動を行い、公判請求されてしまった場合には、無罪を目指して公判活動を展開することになります。
被疑者が認めている場合には、「起訴猶予」を目指して示談を成立させたり、犯情や情状について意見書・上申書を作成するなどして検察官に提出します。
起訴猶予が困難な場合には、略式請求を目指して活動することになります。犯罪によってはそもそも略式請求ができない事件もあるわけで、その場合は公判請求されても仕方ないことになります。勾留中に公判請求されると被告人の身柄の拘束も続くので、保釈請求して拘禁から解放してもらう必要があります。否認事件や重大事件の場合、保釈を勝ち取るのは困難な場合が多いのが実情ですが、被告人との打合わせを十分に行うためにも是非とも保釈を勝ち取る必要があり、弁護士の腕の見せ所ということになります。