裁判員裁判の対象になる事件は、死刑または無期懲役にあたる事件、または故意に人を死亡させた事件の一部です。代表例は、殺人罪、強盗致傷罪、強盗致死罪、危険運転致死罪などです。全国の地方裁判所で行われている刑事事件の内、約3%が裁判員裁判の対象事件にあたります。
裁判員裁判対象事件では、必ず公判前整理手続が行われます。公判前整理手続とは、第1回公判が行われる前に、裁判官と検察官、弁護人が事前に打ち合わせる非公開の手続です。検察官は主張する事実と手持ちの証拠を明らかにし、弁護人側も反論を明らかにすることによって、公判で問題となりそうな争点を予め絞り込みます。取り調べる証人や裁判の日程なども決めて、効率的に公判が進行するよう裁判の計画を立てるのです。
裁判員裁判は、原則として、裁判官3名と、一般の人から選ばれた裁判員6名によって行われます。裁判員は裁判官と共に事件の内容について判断し、裁判手続の進行は裁判官によって行われます。
裁判員裁判では、検察官も弁護人も、限られた時間で裁判員に理解してもらえるよう分かりやすい用語を用いて、法廷内のモニター画面に図や写真を写し出すなどの様々な工夫をしています。証人尋問や被告人質問では、裁判員も質問することができます。
裁判官と裁判員が、法廷とは別の部屋で、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰が適切か、話し合います。話し合いは、裁判官も裁判員も対等な立場で意見を出し合い、全員が一致する結論に至らなければ、多数決で結論を出します。ただし、被告人を有罪とする場合には、裁判官と裁判員のそれぞれ一人以上が有罪の意見であることが必要です。
判決の言い渡しは、裁判員も立ち会い、裁判官が法廷で行います